「北海道のスキーリゾートが海外資本に買われた」「有名温泉地の旅館が外国ファンドに買収された」
近年、ニュースやSNSでこんな話題をよく目にします。
一見すると、日本の土地が奪われているように見えるこの現象。でも実は、その裏には日本経済の構造変化とグローバルな観光需要が隠れています。
目次
背景①:人口減少と後継者不足

地方の旅館やリゾート運営者の間では、「後継者がいない」「設備更新ができない」という課題が深刻です。
観光業は設備投資・人件費・維持コストが高く、黒字でもキャッシュフローが厳しいケースが多い。
そんな中で、海外投資家やファンドが「老舗を再生させたい」「日本の観光地のポテンシャルに投資したい」という形で資金を投入しているのです。
背景②:円安と、日本資産の割安感
2025年の円相場は、依然として円安傾向。
海外から見ると、「日本の土地や施設が格安に見える」状態になっています。
同じ1億円でも、ドルや元に換算すれば割安。世界的な投資家にとって、日本は「安全・観光地として人気・価格が安い」というお買い得市場になっているのです。
背景③:アジアでの観光需要の爆発

中国・韓国・台湾・シンガポールなど、アジア各国の富裕層の間では、「日本のリゾートを体験したい」というニーズが非常に高まっています。
- 北海道のニセコや富良野
- 長野の白馬エリア
- 九州・大分の温泉地
- 沖縄のリゾートホテル
これらは「アジアのセカンドホーム」として人気が急上昇。その流れの中で、海外企業が経営や再開発に参入しているのです。
背景④:日本の観光地の再生案件が多い
老舗旅館やスキー場は、設備老朽化・人材不足・経営難で閉鎖するケースも少なくありません。
そうした施設を、海外資本が「再生」「リブランド」して復活させる例も増えています。たとえば、
- 外国企業が運営を引き継ぎ、インバウンド需要を取り込んで黒字化
- 外国人スタッフがSNSで世界に発信し、再び人気観光地に
など、地域活性のきっかけになっているケースもあります。
それでも懸念される「地域への影響」
もちろん課題もあります。
- 地元事業者が排除される
- 価格高騰で地元の人が利用しづらくなる
- 文化的・景観的な一体感が薄れる
などの地域との距離感が問題になることも。観光地の持続性を保つためには、「資本だけでなく、地域との共存」が不可欠です。
日本に残されたチャンスとは?
外国資本の参入は、裏を返せば「日本の観光地にまだ可能性がある」という証拠。地方には、
- 未開発の温泉地
- 世界に発信されていない文化資源
- 空き旅館・古民家などのリノベーション素材
が無数に眠っています。
それを見つけ、磨き上げ、発信することができれば、「日本人による地域再生」も十分可能です。
まとめ
外国資本の買収=悪 ではありません。問題は、「誰が地域の未来を描くのか」。
海外資本が動くのは、日本の観光資産に価値があるから。そしてその価値を最大化できるのは、やはり日本の地域を理解している人たちです。
いま起きているのは、喪失ではなく転換。この流れをどう生かすかが、次の時代の地方戦略になります。
ホテル系J-REITを購入して分配金という不労所得を得るのも一案
上記の通り日本の観光資産には価値があり、それを背景に訪日外国人数は増加しています。これに伴いインバウンドの消費額は順調に伸びており、消費先の割合としては宿泊費が最も高いです(詳細はこちらの記事を参照)。
そこで本記事作成時点では、個人や法人の投資先としてホテル系J-REITも一案だと当社は考えます(J-REITの一覧はこちら)。J-REITを購入及び保有することにより、銘柄によっては、配当金(J-REITの場合「分配金」と呼ばれる)という不労所得を得ることが可能となります。
ホテル系J-REITの一例はインヴィンシブル投資法人
ホテル系J-REITの一例として、インヴィンシブル投資法人(8963)が挙げられます。当法人はホテルを主に保有しており、賃貸事業の収入が売上の大部分を占めています。保有ホテルは、本記事の作成時点で下記の通りです。
【保有ホテル名(出典はこちら)】
・ホテルマイステイズ
・フレックスステイイン
・アパホテル
・スーパーホテル
・コンフォートホテル
・亀の井ホテル
・アートホテル
・シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
等
【保有ホテル数(出典はこちら)】
114
インヴィンシブル投資法人の分配金は増加傾向
インバウンド消費額の増加を背景にして、インヴィンシブル投資法人の分配金は下記の通り増加傾向です(出典はこちら)。当法人は6ヶ月ごとの決算です。
・2023年12月期:1,640円
・2024年06月期:1,917円
・2024年12月期:1,982円
・2025年06月期:1,895円
株価は政治及び経済の状況により上下するものの、分配金は上記の通り安定的に増加しています。
以上、参考になれば幸いです。
【留意点】
・本記事は、情報提供を目的としたものであり、金融商品の取引を推奨、助言又は勧誘するものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。実際の投資等についての最終的な決定はご自身で行ってください。
・本記事は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
・本記事の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
・本記事のいかなる内容も将来の市場環境、将来の投資収益等を保証するものではありません。投資する金融商品の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。


















