[現役CAに聴いた]好きな仕事を続けるために/「客室乗務員としての仕事をしつつ、副業を」

新型コロナウイルスが私達の生活を変えている。そこで当社は、コロナ禍で宿泊、航空、観光などの業界に携わる個人にスポットを当て、インタビュー特集を実施している。今回は、現役の客室乗務員の女性に話を伺った。

[回答者]
Lisa(30代前半)

──経歴を教えて下さい

日本の大学を卒業後、2013年より新卒採用で日系大手航空会社に客室乗務職として勤務開始しました。最初の1、2年は国内線での乗務をおこない、その後、国際線乗務の資格を取得して晴れて内際共に飛ぶことができるようになりました。3年目以降は国内線チーフパーサー、各クラスのマネジメント、そして少し前に国際線のチーフパーサーの資格を取りました。

フライト業務が主軸ではありますが、いくつかのプロジェクトワークのメンバーとして選出され、地上勤務やPRなどの業務にも定期的に携わっています。

──コロナ前の業務内容を教えて下さい

新型コロナウイルスがまだ猛威を振るう前は、多くの業界がそうであったように業績好調でした。新しい路線なども開拓されました。他業界・他の航空会社もそうだったと思いますが、来たるオリンピックパラリンピックに備え、ワクワクしていました。

自分自身の業務としては、乗務時間が90時間(私たちの業界では勤務時間よりも飛行機に乗っている乗務時間を目安として勤務を組み立てています)ほどあり、フルタイムで働くギリギリの数値でした。

担当している路線のフライト月2本に加え、それ以外の勤務日もほとんどが国内・国際線を問わずフライトで埋まっているようなスケジュールでした。月に数回の会議や地上勤務もありました。

──コロナ禍での会社からの指示を教えて下さい

会社からの指示は3つです。

一つ目は一時帰休です。フライト自体がない状態なので、会社指示でのお休みの数が増えました。人にもよりますが、私のスケジュールでは4月から10月の半年間で、月に10日以上が帰休指示です。

二つ目は体調管理の徹底です。とにかく少しでも異変を身体に感じるようであれば休むこと、普段からも感染症対策をおこなうことです。自宅での飲み会での感染が一時期多々あったようで、全社的に口すっぱく言われています。また昨今は会議などで会社に最近少しずつ出社することを再開しましたが、とにかく長居はしない、換気や消毒の徹底など皆で気をつけています。

三つ目は、業務中のコスト削減です。今私たちにできることは確実にやっていくことが大切だと考えています。お客様に提供するものをケチったりはもちろんしませんが、元々進んでいたペーパレスがさらに加速しました。1枚の紙を無駄にしない、機内の物品を大切に使う、など全ての部署で取り組んでいます。

──コロナ禍での業務内容の変化、客層(国籍、性別、年齢)の変化、空港の変化、出勤頻度の変化、ご自身のライフスタイルの変化等を教えて下さい

業務内容の変化としては、まずはメディアなどでも報じられているように、乗務自体が減っています。

一時帰休や自宅/会社内スタンバイや教育の機会が増加しました。今までは「安全」と言えば「安全に飛行をし、お客様を目的地までお送りすること」でしたが、昨今は加えて「衛生管理」の視点にも重きを置いています。お客様が口に入れるものを扱うので以前から気をつけている項目ではありましたが、今まで消毒などをしなかった箇所も、少しでも人が触れる可能性のあるところは除菌をするなどの業務が増えました。

反対に、機内販売の中止など、今までおこなっていたことができなくなるなど、お客様との接点が減り少し悲しく感じています。このご時世、仕方ないですけどね。

客層(国籍、性別、年齢)の変化ですが、客層に関しては、もはやお客様がいらっしゃらないです。笑

国際線に関しては、本当に乗務員の数の方がお客様数より多いなんてこともありました。ただ、GoToのおかげで国内線はだいぶ戻ってきました。今までどの路線にもいらっしゃった中国からのお客様は見かけることがなくなり、代わりにGoToでの補助金を使って普段飛行機には乗らないお客様がとても増えた印象です。乗り慣れないお客様は、言動ですぐにわかります。笑

空港の変化でいうと、羽田も地方空港も、お店の開店閉店時間が変わりました。もちろんお客様は少ないです。私たち空港関係者がランチを摂る際はありがたいですが笑、寂しくも感じますね。

出勤頻度は、格段に減りました。月に数日出社するイメージです。フライトスケジュールは人それぞれなので、なんともいえませんが、私は成田空港にはもう2019年の12月頃から行っていません。

私自身のライフスタイルは、良い意味でも変わりました。時差や早朝深夜勤務もある中での体調管理をしていたのが嘘のようです。(普段よりしっかり管理されていて安全の範囲内ですが)放射能も浴びず、高度の上げ下げもなく気圧の影響を受けず、とても体が楽になりました。

また、外食が極端に減りました。機内で10時間以上過ごしたり、ホテルで過ごすので、自炊はオフの日にしかできませんでした。現在は毎日ご飯を作って温かいものを食べられるのが幸せです。主人と一緒に美味しいものを作るのにはまっています。

加えて、運動をより頻繁にするようになりました。オフの日に、ジムやヨガに通っていましたが、それでも疲れ果てて寝て過ごすこともしばしばありました。定期的に行けるのは幸せです。

もう90時間/月も飛べない体になってしまった…なんて同期とよく話しています。笑

──給与・賞与への影響を教えて下さい

月々の給与は、額面ではガクッと落ちました。基本給をいただけているだけでありがたいとは思っています。飛んでいないし、泊まっていないのだから当たり前ではあります。減ったのは、乗務手当や宿泊手当関連です。

基本的には私たちの職種は基本給が少なく、フライトをすることで稼ぐスタイルなので、月の乗務時間が90から20に減るとその分乗務の手当をあてにできなくなります。日系大手では、持っている社内資格によってその手当の額が変わります。私のように国内国際の責任者をできる人と、新入生では約3倍の違いがでます。新入生など基本給も少ない後輩たちが心配ですね。

賞与に関しては、メディアでも報じられている通りです。株主様への配当もない中で、そこは仕方ないですし当たり前だと思っています。

──今後の転職予定の有無を教えて下さい

転職は常に視野には入れておりますが、今の時点で会社を離れようとは思っておりません。側から見れば大したことのない仕事に見えるかもしれませんし、辛いこともあります。しかし、楽しくやりがいのある仕事です。会社の制度などを利用して、副業をしながらも、この会社で働けたら嬉しいと思っています。

副業では自身の今あるスキルを活かして、また新たなものも身につけて、賃金の補填だけでなくステップアップをしていきたいです。

──ご自身の現状や将来についての所感を教えて下さい

現状は、会社がつぶれないように社員一丸となって働かなくては、という強い危機感を持っています。不安な気持ちがないと言えば嘘になりますが、今できることを確実にやるしかないですよね。

将来を考えると…上記でもお伝えしましたが、仕事自体は好きです。今まで辛いこともありましたし、何度泣いたかわかりませんが笑、今まで頑張ってきてよかったと心から思っています。会社として副業の幅を広げてくれたりと、会社も生き残りをかけながらも、従業員のことを大切にしてくれているのかなと感じます。なので客室乗務員としての仕事をしつつ、副業をして生活の足しをしつつ、スキルアップをしていきたいです。

今回のことで、一つの仕事に固執してそれ一本で食べていくことの怖さを知りました。「自分には資格やスキルは何もない」とおっしゃる先輩や同僚はたくさんいます。私はそうならないように、若いうちから客室乗務員の仕事をしつつも、資格を取得したり自身の強みを活かすなど工夫してきました。貯金もしてきました。今、英会話講師やWEBで仕事を受けたりなどができているので、そこまで将来に怯えてはいません。

ですが、本業を長く頑張れるよう、今は会社が持ち堪えられるよう一社員として努力をしていきたいです。

──どうもありがとうございました

当社は、コロナによる宿泊、航空、観光などの業界への影響を今後も発信する。ご覧頂ければ幸いである。

【制作】ジャパンプランナーズ株式会社

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