「日本遺産」というものをご存知だろうか。これは文化庁が認定するものであり、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語る地域のことである。 (日本遺産の詳細や日本遺産リストはこちら)
現在日本遺産には約80あまりの地域が登録されている。ここで全てを紹介することはできないので、3つだけピックアップしてその概要を紹介する。
1.[北海道]カムイと共に生きる上川アイヌ〜大雪山のふところに伝承される神々の世界〜
上川アイヌとは、上川(石狩川の上流)で暮らす少数民族アイヌのことである。アイヌは元来、物々交換による交易を行う狩猟採集民族である。文字を持たない民族としても知られる。現在は主に北海道に居住しており、人口は少なくとも1万人いることが分かっている。
カムイとは神のことである。上川アイヌの人々にとって「川は山へ溯る生き物」である。最上流にある大雪山は最も神に近いところと考えられている。彼らは石狩川流域にコタン(集落)をつくり、河川の恵みによる交易で栄えた。それを特集したのがこの日本遺産である。

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/
2.[山梨県] 葡萄畑が織りなす風景
山梨県の甲府盆地には、見渡す限りの葡萄畑が広がる。
この地域では葡萄栽培が古くから行われ、栽培技術が発展してきた。明治時代にはワインづくりが政府の殖産興業政策の一環になり、葡萄栽培が一層盛んになった。現在60を超える日本一のワイナリー集積地である。

3.「四国遍路」
四国遍路は、阿波(徳島県)・土佐(高知県)・伊予(愛媛県)・讃岐(香川県)に点在する弘法大師空海ゆかりの88箇所の札所を巡ることである。四国を全周する全長1400キロメートルに及ぶ。一歩一歩、それぞれの思いを込めて自分と向き合いながら歩く。
四国遍路は、白装束に菅笠を身に付けて、金剛杖をつきながら巡るスタイルが一般的。現在は、バス、列車、自家用車などの交通機関を利用した巡礼も行われているが、今なお多くの人々が歩いて遍路を行っている。
その道中で触れることができるのが、地元の方によるおもてなしである。これは「お接待」と言われている。お遍路さんに食事や果物、飲み物を振る舞い、ねぎらいの言葉をかけ、道に迷ったときは道を案内し、時には「善根宿(ぜんこんやど)」と呼ばれる無料の宿やお風呂を提供する。このように地元住民と触れ合いながら心を通わせることが四国遍路の醍醐味の1つであろう。

以上、3つの日本遺産を紹介した。もし興味があれば、訪れて日本の文化・伝統に触れてはいかがだろうか。