[現役のホテル勤務者に聴いた]インバウンドが全くいない/「観光業に携わりたい」

新型コロナウイルスが私達の生活を変えている。そこで当社は、コロナ禍で宿泊、航空、観光などの業界に携わる個人にスポットを当て、インタビュー特集を実施している。今回は、シティホテルに現役でスチュワード(食器類の管理者)として勤務する男性に話を伺った。

[回答者]
Y・H(30代後半男性)

[職歴]
2006年~2010年 温泉付きホテル
2010年~現在 シティホテル

[勤務先の所在地]
北海道札幌市中央区

[勤務先の種別]
シティホテル

──コロナ前の業務内容を教えて下さい

約1年ほど前にホールスタッフからスチュワードへ異動になりました。スチュワードでは、主に宴会の器材の用意や、食器の洗浄作業を行っていました。また、客室のグラスやバスカップも洗浄していました。

ホールスタッフの時はブッフェ形式の朝食、ランチの業務を行っていました。私は主に料理の補充を行っていました。年末年始は宴会はほとんどないので、朝食レストラン(当時はブッフェ形式)のスチュワードのヘルプも行っていました。朝食に関しては和食、洋食を合わせて約30種類の料理がありましたので、今思うとすごく大変でした。

──コロナ禍での業務内容の変化、客層(国籍、性別、年齢)の変化、地域の変化、出勤頻度の変化、ご自身のライフスタイルの変化等を教えて下さい

まず、宴会はほとんど入っていなかったので、3~4月は自宅待機でした。5月からは、朝食のみレストラン営業していましたので、スチュワードで朝食のみの洗浄を行っていました。ちなみに、ブッフェ形式ではなく、和食と洋食を選べるお膳形式でした。

6~7月位からランチ営業もはじめて、朝食とランチ両方の洗浄作業を行っていました。ランチも和食と洋食を選べるお膳方式でした。

インバウンドは全くいませんでした。しかし、他会場を朝食レストランとして利用するようになりました。また、ブッフェ形式がお膳形式になったり、ソーシャルディスタンスの課題があるため、コロナ前と比べて少ない人数(およそ300名)でも忙しかったです。スチュワードとしても、ブッフェ形式よりも、お膳形式の方が洗浄作業に時間を費やしました。

ライフスタイルの変化としては、まず収入が激変しました。確かに、国からの補助金はありましたが、給料だけでは一か月の生活ができないがあまり、少しずつ貯蓄から削っていました。ですので、洋服に関しては昨年まで買っていたものをそのまま利用していました。靴など、どうしても買わなければならないものは、低価格のものを買っていました。

しかし、悪いことだけではありませんでした。自分の時間も増えたので車の運転をする機会が増えました。おかげで、短期間で車の運転に慣れることができました。

また、私の趣味である渓流釣りやキャンプなどのアウトドアは、密にはならずコロナとは直接関係ありません。そちらを行う機会が増えたことも自分の中では良かったです。

──給与・賞与への影響を教えて下さい

まず、賞与はでませんでした。これは、2011年の東日本大震災の年と同じです。

給与は国からの補助、出勤時間、出勤日数に応じて出たので、かなり激変しました。でも、私の知る限りコロナを理由に退職をした人は決して多くはありませんでした。

私は、単身で実家から通勤しているので減給は大丈夫です。しかし一人暮らしやまだ赤ちゃんの子供を持つ家庭の人は大変だと思いました。とある日、夫婦ともに同じホテルで勤務していて、3~4歳くらいの子供がいる人に家計のことを聞くと、「全然大丈夫だよ!」とあっさり言われました。その一言で安心しました。

──今後の転職予定の有無を教えて下さい

このご時世なので、退職しても仕事はないと思います。ですので今は転職を考えていません。今の職場でも、これまでの努力を認めてもらいました。また今のスチュワードにはホールの現状を把握している人がいないため、私は重宝されています。ですので、コロナが落ち着くまでは今の職場にいるつもりです。

──ご自身の現状や将来についての所感を教えて下さい

日本でもフリーランスという職業がはやりだしてきています。私個人もフリーランスという職業に興味を持っていますので、いずれかはフリーランスになるかもしれません。

フリーランスになっても、観光業に携わりたいと思っています。そして、コロナで損失してしまったものを取り返したいと思います。

──どうもありがとうございました

【制作】ジャパンプランナーズ株式会社

以上

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